新NISAは本当に使える? 長所と落とし穴を徹底解説

最近話題になっている新しいNISA制度。政府は長期的な資産形成を促進するための改革としていますが、現実には使い勝手の悪さや制約の多さを指摘する声も少なくありません。今回は、新NISAの特徴を整理し、そのメリット・デメリットを詳しく掘り下げていきます。どのような人にとって最適なのか、利用すべきかどうかを見極めましょう。

新NISAとは? 簡単におさらい

新NISAは、従来の一般NISAやつみたてNISAの改良版として、2024年から開始される予定です。最大の特徴は、非課税投資枠の拡大と生涯を通じて利用できる「総額制」が導入された点。非課税枠は年間最大で360万円、累計で1,800万円となり、投資可能な金額が大幅に増えました。

一見すると大きなメリットに感じますが、実際に利用する際にはいくつかの「落とし穴」が隠されています。

新NISAのメリット

  1. 非課税枠の拡大
    新NISAでは非課税投資枠が大幅に拡大され、資産形成の選択肢が増えます。年間最大360万円、そして累計1,800万円まで非課税で投資できるため、長期的な資産運用を目指す人にとっては大きなメリットです。
  2. 成長投資枠と積立枠の併用
    新NISAでは、成長投資枠(リスクの高い商品)と積立枠(つみたてNISAで取り扱うような低リスク商品)の両方が併用可能。これにより、リスク分散を図りつつ、攻めと守りのバランスが取れた資産運用ができます。

新NISAのデメリット・批判

  1. 非課税期間の制限
    新NISAでは非課税期間が20年と設定されていますが、これが投資商品によっては非常に不利になることも。特に長期的な株式投資を目指す場合、この期間の制約が問題となり、柔軟な運用ができなくなる可能性があります。
  2. 対象商品の限定
    新NISAで利用できる投資商品は、つみたてNISA同様に厳しく選定されているため、幅広い投資が難しくなります。多様な投資商品に分散投資したい人にとっては、この制限が大きなハードルとなるでしょう。
  3. リスクの高い商品への誘導
    成長投資枠では、ハイリスクな商品を扱える点がメリットとして挙げられますが、反対に、初心者が安易にリスクの高い商品に手を出してしまう危険性もあります。特に経験の浅い投資家が、リスクを正しく理解せずに投資を行うと、資産を減らしてしまう可能性が高まります。

新NISAを利用すべきか?

では、新NISAを誰が利用すべきなのか。結論としては、長期的な資産運用を考えつつ、リスク分散を意識できる投資家にとっては適した制度です。ただし、リスクの高い商品への投資を考えている場合、慎重に判断する必要があります。

  1. 資産形成の初期段階にいる人
    比較的若い世代や資産形成を始めたばかりの人にとっては、新NISAは非課税枠をフルに活用できる大きなチャンスです。成長投資枠と積立枠を上手に使い分けることで、長期的に資産を増やすことができるでしょう。
  2. 既に一定の資産を持つ人
    既にある程度の資産を持っている人にとっては、非課税枠の拡大を利用してポートフォリオを調整する絶好の機会です。ただし、リスクを過度に取らないことが重要です。

結論

新NISAは、確かに資産形成に役立つ制度ではありますが、万能ではありません。非課税枠の拡大や複数の投資枠の併用は魅力的ですが、その反面、運用期間や対象商品の制約があり、全ての投資家にとって最適な選択肢とは言えないでしょう。

マネコムからのアドバイスとしては、投資においてはリスクをしっかりと理解し、自分の資産状況に合わせた適切な投資戦略を立てることが重要です。新NISAに限らず、他の制度や投資方法と組み合わせながら、バランスの取れた資産運用を目指しましょう。

マネコム

マネコム金融FP歴30年

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東京生まれ。中学で日経新聞の株価欄に興味を持ち、高1で現代社会の先生に衝撃を受け、経済の道へ。先物、FP、銀行、投資顧問、投信運用、証券を経た金融FP業界30年のベテラン。

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